
■「変換ソフトを使えばいいと思っていませんか?」
確かに同じ北京語ですので文法も同じですし、単語も共通する部分がたくさんあります。話の前後でおおよその意味が通じる場合もあるでしょう。
しかし中国語圏からのお客さまをターゲットにしている方は、この違いを軽く捉えては大きな失敗を招くことがあります。
台湾(繁体字圏)と中国大陸(簡体字圏)の両方の人たちをターゲットにしたいとお考えの場合、漢字表記をソフトで変換してしまえばOK!ということは決してないのです。
■「簡体字と繁体字の違いは、文字だけではありません。」
異なるのは文字の表記だけではなく、特に発音は大きく異なります。一種の「方言」の違いのようなものと言えるかもしれません。
「単なる方言の違いなら、大した問題ではない」と思われるでしょう。
しかし、ここで一度、自分の立場に置き換えて考えてみてください。
「繁体字」を使っている台湾で、簡体字圏の発音アクセント・言い回しが使われていたら、聞いたあなたは違和感を覚え、また不誠実な対応だと感じるのではないでしょうか。
■「知らないで反感を買った日本政府の観光CM」
先日、台湾のネットニュースでこんな記事を見つけました。
台湾において日本政府の観光PR用テレビCM(日本の超有名アイドルグループを起用)を中国大陸式北京語(簡体字)アクセントの中国人ナレーターを起用してテレビ放映したところ、「これは中国向けのCMだろう」、「もう見たくない」「日本に行きたくなくなった」といった書き込みがネット上に殺到し、事態を重く見た日本政府側が急遽、放映を取り止め、現地でナレーションを収録し直してやっと騒ぎが収まったといったという記事内容でした。 つまり折角の超有名アイドルG起用も、台湾の国民感情を知らずに収録したナレーションが仇となってしまったわけです。
恐らく、その反対のことを中国で行った場合も同様の反感を招くことでしょう。(中国と台湾の間には歴史的事情や、政治上の問題などがあるため、きっと放映前に差し止められるでしょうけど…)
ですから音声も同じようにそれぞれ繁体字と簡体字原稿は別々に、それぞれのネイティブアクセントで収録することが不可欠なのです。
【例:簡体字と繁体字の違い】
日本語 | 中国(簡体字)Simsun宋体 | 台灣(繁體字) PMingLiU新細明體 |
備考 |
---|---|---|---|
ホテル※ | 酒店 | 飯店 | 「酒店」は台湾ではキャバクラという意味で捉えてしまうことが多い。 |
インターネット | 互联网;网络 | 網路 | |
タクシー※ | 出租车 | 計程車 | 台湾では「出租车」という言葉はないが、レンタカーという意味に勘違いしてしまう。 |
バス | 公交车 | 公車 | |
標準語 | 普通话 | 國語 | |
ビデオ・映像 | 录像;视频 | 影像;影片 | |
おはようございます | 早上好 | 早安 | |
オーストラリア※ | 澳大利亚 | 澳洲 | 世界国名の翻訳は結構違う。他にもたくさんある。 |
ニュージーランド※ | 新西兰 | 紐西蘭 | |
スマートフォン | 智能手机 | 智慧型手機 | |
ペットボトル | 塑料瓶 | 寶特瓶 | |
プラスチック | 塑料 | 塑膠 | |
コンピューター※ | 计算机 | 電腦 | 「计算机」は台湾では電卓の意味になる。 |
プリンター | 打印机 | 印表機 | |
デジタル | 数码 | 數位 | |
クオリティー・品質 | 质量 | 品質 | |
3D | 3维 | 3D | |
コンテナ | 集装箱 | 貨櫃 |